製造業コラム

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MRPとERPとは?

更新日:2023年11月 2日
MRPとERPとは?

今回は「MRP」と「ERP」についてお話します。

MRPってなに?

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MRPという考え方は、1960年代初頭のアメリカで生まれました。この頃のMRPは"Material Requirements Planning"の略で「資材所要量計画」と翻訳されます

製造業は、生産に当たって、個別の製品単位で期間別の生産数量、つまり「なにを、いつ、どれだけ、つくる」かを指定する基準生産計画(MPS: Master Production Schedule)を作ります。そのMPSを満たすために、生産に必要な構成部品の種類と数量を決定して、手配するための技法がMRPです。

基準生産計画を構成部品や原材料に関する詳細生産計画に変換する計算を行い、基準生産計画を満たすためには「なにが、いつ、どれだけ必要で、いつ手配する必要があるか」を決めます。この当時のMRPは、主に在庫管理と資材手配の一手法でした。現実の生産能力や製造現場での制約は考慮せず、最終製品に対する構成部品の種類・数量・完成期日及び手配時期を計画(計算)するのみだったのです。

1970年代には、コンピュータの性能向上と初期MRPの継続的な改良、機能拡張によって、アメリカ製造業ではMRP導入がブームになります。この頃、MRPで計画を立てたのち、それを工場の生産能力と照らして実行可否を判断する「能力所要量計画(CRP: Capacity Requirements Planning)」の考え方が生まれました。当時は、MRPとCRPとが生産管理の基礎を成すと理解されていました。

この段階のMRPは、MRPの後にCRPを行い、問題があれば再度MRPを行うループ構造だったので「クローズドループMRP(Closed Loop MRP)」と呼ばれます。

初期MRPの目的は、製造業における生産の計画と統制でした。しかし、第2段階のクローズドループMRPの成功を機に、資材と生産能力以外の製造諸資源をも適切に計画し調整しようとするアイデアが生まれ、MRPはMRPⅡ(Manufacturing Resource Planning Ⅱ、製造資源計画)へと発展しました。MRPⅡは資材から人、製造設備までを含めた製造にかかわる資源全般を計画するもので、統合生産管理システムの中核と見なされるようになります。

ERPってなに?

「ERP」とは、企業資源計画(Enterprise Resource Planning)の略で、企業全体を経営資源の有効利用の観点から統合的に管理し、経営の効率化をはかるための手法・概念です。ERPパッケージとは、ERPの手法・概念を効率的に構築し運用するために提供される、既成のアプリケーションを指します。企業の資産であるヒト・モノ・カネ・情報を一元管理し、経営の効率化・見える化を図るために開発されたERPパッケージは、MRPⅡを進化させたシステムだといえます。

MRPⅡは当初、製造業のための統合生産情報管理システムであると考えられていました。そこに販売管理や物流管理などの機能が付加され、さらには人事管理や会計のシステムまでも統合されます。次第にMRPⅡは、企業の経営諸資源を有効活用するための計画と管理全般を行う現在のERPパッケージの姿へと進化しました。

では、ERPパッケージはどのように広まったのでしょうか。

1980年代までのコンピュータシステムは、ユーザー"企業"ではなくユーザー"部門"最適型のものがメインでした。その潮流を大きく変えたのが、「BPR(Business Process Reengineering)」ブームです。

BPRは1990年代、長期不況にあえぐ米国で誕生し、世界中に拡散した概念です。当時不況下で成長に行きづまっていた企業は【Q(品質)C(コスト)D(デリバリー)S(スピード)】といった重要なパフォーマンス基準を改善するために、個別の業務ではなく、業務の流れやビジネスプロセスそのものを抜本的に解決しようと試みました。これがBPRです。例えば、紙の伝票で行っていた経理業務を、コンピュータでのペーパーレス処理に切り替えることで人件費を大幅に削減したといった事例が挙げられます。結果的に、BPRによって世界中の企業が劇的な経営改善を遂げました。

BPRを行うためには、個別業務に最適化されたシステムではなく、企業の業務プロセス全体をカバーできるシステムが必要になります。この需要を取り込んで発展したのがERPパッケージです。BPRブームをきっかけに、1990年ごろ、世界中でERPパッケージ導入ブームが起こりました。

日本でも、当時はバブル崩壊で経済が停滞していました。そこで多くの日本企業がBPRに注目し、抜本的なビジネスプロセス改革を掲げ、ERPパッケージの導入を行いました。

ITの視点で見てみると、1990年代はメインフレームからオープンシステムへの移行が盛んでした。2000年問題の対策がも問われていた真っ只中で、システムを刷新するニーズが高まっていたことも、ERPパッケージが一気に広まった背景です。

しかし、欧米と日本では業務運営に関しての考え方が大きく違ったためか、現在は、"ERPを導入してBPRを"と言ったスローガンをあまり聞かなくなりました。一時は統合的な業務管理のためにERPパッケージを導入したものの、どうしても合わない業務がある部分は他システムに交換する動きも出始めています。特に製造業は、ERPパッケージだけで業務全体をカバーする事は難しく、ERPシステムの下位にMES(製造実行システム)、その下位には製造機器とつながる個別システム......といったレイヤーモデルになっています。

製造業向け生産管理システムUM SaaS Cloud

今回はMRPとERPについてお話しました。

シナプスイノベーションが提供するUM SaaS Cloudは、生産管理から販売・購買管理、在庫管理まで幅広く対応できる製造業向けシステムです。MRP機能を有しており、資材から人・設備までの資源全体の計画を1クリックで作成することが可能で、多様な業務システムと連携できます。また、経営情報を一元管理するERPとしても活用いただけます。ご興味をお持ちいただけましたら、ぜひ資料ページをご参照ください。

SCさん
著者:SCさん

製造業のお客様にUM SaaS Cloudの導入を支援するコンサルタント。
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