製造業コラム

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送る側・受け取る側のジレンマを解消する「ハイブリッド受発注」の極意

現場責任者

経営陣は『受発注業務もDX・ペーパーレス化だ!』と急かしてきます。ですが正直、現場の細かな事情まではなかなか汲み取ってもらえなくて……

UMコンサル

なるほど、経営層と現場でかなり温度差があるようですね。具体的にどういったところでそう感じられますか?

現場責任者

受発注って『送る』業務と『受け取る』業務の両方がありますよね。

まず受け取る側として、長年付き合いのある町工場の社長さんに『明日からWebの画面で注文を入力してください』なんて簡単に言えません。
『面倒だからFAXじゃないと注文しないよ』と言われたら、売上が止まってしまいます。

逆に送る側としても、発注書や図面に手書きで指示を追記して送る利便性が手放せませんし、何より取引先から『紙のFAXで送ってくれ』と指定されることが多いんです。

UMコンサル

おっしゃる通りです。
相手のある受発注業務において、『送る側』『受け取る側』の双方で、現場の皆様が取引先との関係維持にどれほど気を配られ、日々板挟みの苦労をされているか、とてもよく理解できます。

現場責任者

ですよね。
だから、うちの受発注は相手の事情も考慮して、当面FAXのままで行くしかないんです……。

UMコンサル

……いえ、実はそこが『大きな落とし穴』なんです。
現場の事情を守るための『FAXの現状維持』が、会社を揺るがす致命的な経営リスクに直結しているとしたら、どうしますか?

現場責任者

経営リスク? たかがFAXを続けるだけで、そんな大げさな……

UMコンサル

決して大げさな話ではありません。
「2026年の約束手形廃止」や「通信インフラの激変」が迫る今、このままFAXに依存し続けることは、BCP(事業継続計画)の脆弱性や『2025年の崖』と呼ばれる競争力低下に直結する、待ったなしの脅威なのです。

現場責任者

えっ……。でも、相手がある以上、無理やりデジタル化を押し付けることはできませんよ。どうすればいいんですか?

UMコンサル

安心してください。
取引先のFAX環境を変えずに自社だけをデジタル化する方法があります。

本記事では、製造業が直面するインフラ危機を紐解きながら、現場の負担をゼロにしつつ経営課題も解決する『究極の最適解』を解説します。

目次

FAX利用率7割、現場が「FAXから離れられない」4つの切実な理由

FAX利用率75%超、現場が「FAXから離れられない」4つの切実な理由

AI inside社の調査結果によると、企業間の発注方式における「FAX」の利用率は7割に達し、すべての通信手段の中でトップを占めています。
現場がFAXから離れられない理由には、「送る側」「受け取る側」それぞれの切実な背景があります。

出典:AI inside株式会社「製造業の受注業務おける紙書類の利用状況に関する実態調査」(2024年)

【送る側(発注・請求など)の課題】

  • 取引先の意向:相手先から「うちはパソコンが苦手だから紙(FAX)で送ってくれ」と指定されれば、合わせざるを得ません。
  • 即時性と実用性:図面や発注書に手書きでパッと追記してすぐに送れる利便性が手放せません。

【受け取る側(受注・納品など)の課題】

  • 相手のITリテラシーへの配慮:取引先に新たなWebシステムへのログインや入力を強要すると、関係悪化や取引停止を招く恐れがあります。
  • 受取体制の未整備:自社・他社ともに、電子データ(PDFやCSVなど)を受け取り、それを基幹システムに連携して処理する体制ができていません。

「無理にFAXを廃止すれば、サプライチェーンが分断され、部品が届かなくなる」
現場の担当者がそう危惧するのは当然のことです。

2026年大手配信サービス終了の危機。通信費2倍に備える「現場を壊さないDX」

しかし、FAXに依存した受発注体制は、外部環境の急激な変化によって「大手配信サービス終了」の危機に直面しています。
以下の事実は、現場の努力だけでカバーできる範疇を超えています。

FAXインフラを襲う激震

  1. 大手FAXサービスの終了
    クラウドFAX大手(NTTドコモビジネス様「BizFAX スマートキャスト/Fネット」)が、2026年4月に新規販売を停止し、2030年度にはサービスを完全終了すると発表しました。
  2. FAX通信費の大幅値上げラッシュ
    NTT東西の接続料金改定(2025年3月認可)に伴い、1回あたりの通話(通信)にかかる料金が2024年度の約2倍以上に跳ね上がります。
    これにより、各社FAX送信サービスの大幅な値上げが不可避となっています。

さらに、政府が推進する「2026年の約束手形廃止」や「サプライチェーン全体の強靱化」の波は、アナログな商取引を許容しなくなりつつあります。「相手がFAXだから仕方ない」と放置すれば、通信コストの増加や、インフラ停止による業務ストップ(BCPリスク)を自社が被ることになります。

「相手はFAX、自社はデジタル」で拓く。現場の関係性と効率化を両立する新常識

「相手はFAX、自社はデジタル」で拓く。現場の関係性と効率化を両立する新常識

では、どうすれば良いのでしょうか?

結論から言えば、「無理にFAXを全廃する必要はありません」
最も現実的で効果的なアプローチは、「相手の通信手段(FAX)は尊重しつつ、自社の『送る』『受け取る』処理だけをデジタル化する(ハイブリッド運用)」ことです。

これを実現するのが、帳票配信サービスとクラウドERPの連携です。

【送る側(発注・請求)の解決策とメリット】

解決策:自社はシステムからデータ出力し、相手にはFAXで届ける

基幹システム(ERP)から出力したデータをクラウドサービスに連携し、自動でFAX送信を行います。相手の希望に合わせて、ファイル送信(Web)や郵送代行への切り替えも一つのシステムで完結します。

  • 現場のメリット:システムから直接送れるため、ダイヤル入力といった「付随作業」がゼロになります。
  • 経営のメリット:電子配信への段階的移行により、高騰する「FAX通信費」を大幅にカット可能です。

【受け取る側(受注・納品)の解決策とメリット】

解決策:相手にはこれまで通り送ってもらい、自社はデータで受け取る

相手がFAXで送ってきても、クラウドFAX機能やAI-OCRを組み合わせることで、自社は電子データとして受け取ります。

  • 現場のメリット:届いたFAXをシステムに手入力(転記)する膨大な手間とミスがなくなります。紙をファイリングする手間も消え、テレワークの阻害要因も排除されます。
  • 経営のメリット:ペーパーレス化による保管コスト削減はもちろん、電子帳簿保存法に対応したセキュアなデータ管理(ガバナンス強化)が実現します。

FAXから始まる製造業の「全体最適」。取引先との関係を守りつつ、自社の競争力を最大化へ

FAXの電子化は、単なる「送り方の変更」ではありません。

「UM SaaS Cloud」のようなクラウドERPと組み合わせることで、見積から受注、生産管理、出荷、そして請求に至るまでのプロセス全体をデータで繋ぐ「全体最適」の入り口となります。

相手に負担を強いることなく、自社の残業を減らし、経営リスクを回避する。
製造業の「やめられないFAX」問題は、やり方次第で自社の競争力を高めるDXの起爆剤になります。

「取引先との関係を壊さずに、自社の通信コストと手作業のムダを激減させたい」
「上司からDXを迫られているが、現場が納得する現実的な解決策を探している」

このようなお悩みをお持ちの方はぜひシナプスイノベーションまでお気軽にお問い合わせください。
貴社の状況に合わせた最適なロードマップをご提案いたします。

FAX業務にお悩みのあなたへ!
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