工程進捗管理、できていますか?
今回は、製造業の進捗管理についてお話しします。
"進捗管理"は『日本産業規格』において、「仕事の進行状況を把握し、日々の仕事の進み具合を調整する活動」「進度管理又は納期管理ともいう」と定義されています。
ではなぜ、仕事の進行状況を把握し、仕事の進み具合を調整しなければならないのか。それは、お客様が求めるモノを"納期を守って"製造する必要があるからです。
PDCAで回す進捗管理
進捗管理には"PDCA"のサイクルが欠かせません。ここでは"PDCA"という言葉について、改めて見ていきましょう。
①Plan
計画と実績を比較して、そのギャップを埋めることが「進捗管理」です。どのような生産形態であれ、計画がなければ「進捗管理」になりません。
ちなみに、先ほどの『日本産業規格』で「生産計画」は、「生産量と生産時期に関する計画」「大日程計画、中日程計画、小日程計画に分けられる」と定義されています。つまり、何をどれだけ、いつ作るのかという計画が「生産計画」になります。
生産計画では、納期までに必要なモノを作るため、いつ作るのか、誰が作るのか、どう作るのかを考えます。期間内で作業を完了させるだけではなく、作業が過密になったり、逆に不足して、人や機械に待ち時間が出たりすることもないように、綿密な計画が必要です。
②Do
計画に従い、製造作業を行います。
③Check
製造作業の実績と計画を比べ、計画通りに実績が進んでいるかを確認します。
ここでは、現場全体の管理者・各工程のキーパーソン・作業者の連携が重要です。計画に対して「遅れている」「遅れそう」という状況を認識するためには、作業の手配・準備から作業完了までの一連の計画を、そもそも把握できていなければなりません。計画を把握しているのは管理者やキーパーソンです。管理者やキーパーソンが作業者の状況を知ることで、会社は計画の遅れを認識することができます。
④Action
「作業が遅れている/遅れそう」と認識すれば、その対応が必要になります。遅れている状態から納期を守るための応急処置としては、残業や休日出勤でカバーする、他部門から応援に来てもらう、外注に作業を依頼するなど、主に"人手を増やす方法"が考えられますよね。
しかし、根本的な問題を解決するためには、そもそもなぜ遅れたのか、原因自体にアプローチする必要があります。例えば、追加受注がきていたのにそれを計画に反映させていないと、遅れが発生します。その場合は、追加受注がもれなく計画に反映できる仕組みが必要です。"作業者のスキル不足"や"モラル低下"によって、生産能力が不足する場合もあります。これらには、作業のマニュアル化や作業者への教育などが効果的です。原材料や部品の"納期遅れ"や"発注ミス"が原因だった際には、MRPや発注システム、在庫管理システムなど、原材料の仕入と在庫管理に関わる部分の見直しを検討してみるべきでしょう。
進捗管理の具体的な手法
進捗管理の具体的な手法としては、日程計画に基づいた作業指示をボードに記載する"差立板"、計画と実績をグラフで表した"ガントチャート"や"製造三角図"などが挙げられます。これらの共通点は、工程とその進捗を見える化しているということです。どの工程を進める計画で、実際にはどこまで進んでいるのか、リアルタイムの進捗状況がぱっとわかります。
では、仕事の進み具合を把握するだけではなく、それを「誰もが目で見てわかるようにする」と、いったい何がよいのでしょうか?
進捗管理を"見える化"すると、工場は強くなる
第一に、モノが「この日までに間に合うか?」「何日までに作れるか?」とお客様から問い合わせをいただいた際に、迅速で正確な回答ができることがメリットです。
それだけではなく、作業者ひとりひとりが、作業全体の進捗を目にするようになると、遅れが生じた場合、作業者自身が気付いて、何らかのアクションを起こすことができるようになります。目の前の仕事に対する問題意識も自然と高くなり、問題を見つけやすくもなるでしょう。さらに、問題が明確になれば、その予防や再発防止に努めることができ、全体の中で自分が担っている役割を考えられるようになってきます。これらを繰り返すことで、作業者のスキルとモラルが上がり、生産能力の向上にも繋がります。そして将来的には「品質の高いものを納期通りに届けられる良い工場」になるでしょう。
しかし、そうは言っても、工場の仕事の全てを自分たちで見える化するのは大変ですよね。
あなたの工場にぴったりの進捗管理を目指して
世の中には、進捗を見える化してくれるITツールがたくさんあります。この中からよりよいツールを選ぶことで、無理なく見える化を進めることができます。そして、よりよいツールを選ぶためには、自社が求めている機能をきちんと備えているか、事前に精査することが重要です。
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